追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(些細な言い争いに発展したとしても、すぐに元の関係に戻る……。お2人は私にとって、理想の夫婦像だわ……)

 ラシリネは「いつか自分も陛下とあんなふうになれますように」と願いながら、席を立つ。
 2人の邪魔をするのは、よくないと思ったからだ。

「スノーエル。戻ろうか」
「わふん!」

 暇を持て余す獣が遊ぶために用意された小さなボールから大人しく口を離したスノーエルと合流し、さぁ部屋を出ようとした時だった。

「ラシリネ嬢。少しだけ、いいだろうか」

 義父に、呼び止められたのは。
 ラシリネは神獣に「待て」を命じると、話を聞く体制に戻った。

「はい。なんなりと、お申しつけください」
「うむ。大した話ではないのだが……。先程、アデラプス王国への進軍が決定した」
「……アオリを聖女の座から引きずり下ろす際の護衛も兼ねて、王立騎士団を動かすのですか?」
「それもある。だが、息子の狙いは……」
「あなた」

 彼が言い淀んだ直後、不安そうに義母が夫を呼ぶ。
 その声を聞いてはっと言葉を止めたあたり、ラシリネが聞くべき内容ではないのは明らかだ。
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