追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(きっと陛下は私に、清廉潔白な姿だけを見せたいんだわ……)

 彼女が口を挟んできたのも、ダリウスの意思を尊重したいという気持ちがあるからだ。

(障壁がなくなれば、隣国にとっては領地を拡大するチャンスですもの……)

 これまでエヴァイシュ帝国がアデラプス王国よりも強大な武力を持っているにもかかわらず彼の国へ進軍しなかったのは、自分が聖女として国を守っていたからだ。

(陛下はきっと、私が傷つくかもしれないと恐れて、手を出さないでいてくれたんだわ……)

 ラシリネのあとに聖女となった妹が偽物だと発覚した以上、手加減をする理由がない。
 ダリウスはこの絶好の機会を逃さず仕留めるつもりなのだろう。

(抜かりないわね……)

 さすがは己の愛した皇帝だ。
 そう褒め称えたい気持ちはあるが、彼に祝われる気がないのだからどうしようもない。

(私が彼の作戦が素晴らしいと思っていることは、黙っておきましょう……)

 ラシリネは心の中だけに留めると決め、夫妻との会話に集中した。
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