追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(陛下には幼い頃から、心に決めた人がいるのね……)

 それが自分であるなど自惚れられるはずもなく、盛り上がる夫妻と彼の姿を横目に、どんどんと気分が急降下していく。

(血の繋がった家族よりも大切な人達に、再会を喜んでもらえた。それだけで満足できれば、どんなによかったことか……)

 陛下と再会して王城に迎えられた時点で、彼に嫌悪感をいだかれているわけではないのは明らかだ。
 もしかしたらずっと一緒にいられるかもなんて不相応な願いをいだいたから、おかしくなった。

(いつものように心を殺して。周りのことなど気にせずに一生祈りを捧げ続ければ、傷つかなくて済む……)

 ラシリネは指先を胸元まで持ってくると、ガタガタと小刻みに全身を震わせながら指先を重ね合わせた。

「ラシリネ?」

 その尋常ではない様子を見かねた彼が、心配そうに声をかけてくる。
 だが、祈ることに夢中の少女は気づけない。
< 18 / 104 >

この作品をシェア

pagetop