追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「もしも不足の事態が起きた時、責任を取るのは神ではない。この俺だ」
「そう、ですよね……」

 皇帝であるダリウスの決定には、つねに責任が伴う。
 神を崇拝する聖女が「絶対に大丈夫だ」と断言したのを真に受けて何かが起きれば、民に言い訳など通用しないのだ。

(民から信頼を寄せられる陛下が私の言葉を真に受けたせいで、自国でハズレ聖女と呼ばれた時のように彼が悪く言われるのは、耐えられないわ……!)

 ラシリネはこのまま「神の言葉を信じるべき」だと強く言うのもどうなのかと迷い、金色の瞳を不安そうに揺らがせた。

 しかし――。

 ダリウスも、こちらを悲しませるつもりはなかったのだろう。
 反省した様子で己を抱きしめる力を強め、静かに重い口を開く。

「最愛の女性に、懇願されたんだ。その望みを受け入れずに拒むなど、男ではない」
「陛下……。よろしいのですか……?」
「ああ。俺達が不在の間、この帝国は父上に任せる。あの人も、それを望んでいるようだからな」
「はい!」

 ラシリネは己の願いが受け入れられたのが、嬉しくて仕方がない。
 満面の笑みを浮かべて頷いたあと、彼の胸元に頬を寄せた。
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