追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「この障壁は……」

 ラシリネは王立騎士団とともにアデラプス王国へ到着し、領土を覆うように張り巡らされた防御壁を目にして絶句した。
 ダリウスが遅れを取った魔物が纏っていた黒いオーラと同じ、嫌な気配で覆われているせいだ。

(異常性は、明らかだわ。なぜ、誰にも指摘を受けずにこの障壁が張り巡らされ続けているの……!? )

 エヴァイシュ帝国で誉れ高き聖女になったからこそ、余計に驚きを隠せない。

(この黒いオーラは、魔獣を凶暴化させていた……。内側にいる国民達にも、悪影響を及ぼすんじゃ……?)

 ラシリネはある仮説を立て、無理を言って王立騎士団を半分だけ連れてきたことを後悔した。

(陛下の言う通り、全勢力を持って対応に当たらないと王城へ辿り着けないかもしれないわ……!)

 焦燥感ばかりが募り、金色の瞳を忙しなくさまよわせる。
 そんなこちらの様子を目にした彼が、不安そうに自分の名を呼んだ。
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