追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「ラシリネ?」
「この防御壁に纏わりつく黒いオーラは、生き物を凶暴化させます。このまま中に入ったら、暴徒と化した民が襲いかかってくる可能性が高いです」
「困ったな……」

 それを防ぐためには、この中途半端に張り巡らされた障壁を破壊するか、己の力で上書きしなければならなかった。

(聖女が守護できる地は、1つだけ。2重契約は認められていない。陛下がこの国を治めるまで、障壁は展開できないわ……)

 この国で暮らす民は、自分が幸せな生活を享受している間にもたくさん苦しみ、怯え、苦しんでいる。

(彼らは私をハズレ聖女と呼び、罵詈雑言を浴びせたかもしれない。でも……。あの時守れなかった命を、今度こそ自らの手で救えるのなら……!)

 ラシリネは今度こそ、彼らを自らの手で救うために立ち向かう。

「ひとまず、民に悪影響しか及ぼさぬこの障壁は破壊します」
「できるのか?」
「黒いオーラを浄化するのは、聖女見習い時代に一度やっているので……。きっと、大丈夫です。ただ……」

 エヴァイシュ帝国を守護する聖女として、こんなことで根を上げてなどいられなかった。
 浄化はかなり疲弊するだろうが、どうにかやり遂げられる自身はある。
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