追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
 しかし――隣接する迷いの森から防御壁が解除されたアデラプス王国へ魔獣が攻め入り、国民達がパニックに陥って敵味方ともに大混乱へ陥るほうが問題だった。

「魔獣か……」
「この国へ再び障壁を張り巡らせるためには、国王が全面降伏を宣言し、この地をエヴァイシュ帝国の領土として神が認めたあと、アオリの解任式を終わらせる必要があります」
「君の妹が偽物なのは、神も知っているはずだ。そもそも、正式な就任式すら執り行えていたかすらもおかしい」
「確かに……。ですが、一度は神もお認めになったはずです。そうでなければ、障壁を国中に張り巡らせるなんてできないので……」
「面倒だな……」

 彼はさっさと己の剣を振るい、圧倒的な武力で黙らせたかったのだろう。
 うんざりとした様子で今後の流れを確認しながら、後方部隊へ指示を出す。

「これより、部隊を3班に分ける。一班は魔獣討伐、2班はこちらに歯向かう民の制圧、3班は俺と来い」
「はい!」

 彼らは一糸乱れぬ敬礼を披露したあと、綺麗に3つの隊列を作る。

(よく統制の取れた騎士団だわ……)

 ラシリネはその様子を物珍しそうに確認したあと、妹の張り巡らせた禍々しい結界へと両手を伸ばした。
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