追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「はい! あの防護壁は、欠陥品でした。この国に張り巡らされている限り、民が魔に魅入られ続けてしまう……。仕方のないことでした」

 本来聖女は、自国に張り巡らされた結界が何者かの手によって破られたなら、瞬時にそれを悟れる。
 本物であれば「魔獣か人間か」までわかるはずなのに、それを把握できていない時点で彼女が偽物なのは明らかだ。

 だが――こちらの説明を聞いても、偽聖女は己の張り巡らせた結界が破壊された理由を、どうしても納得できないらしい。
 彼女は苛立ちを隠しきれない様子で、怒声を響かせた。

「結界がなくなればどうなるかくらい、あんたにもわかるでしょ!?」
「ご安心ください! 魔獣の群れは、陛下の従えた王立騎士団の尽力により、完全に制圧しています! あとは、この国を我が帝国の手中に収め、私がこの領土を守護するだけで、すべてが丸く収まるはずですよ!」

 ラシリネが屈託のない笑みを浮かべ、悪びれもなく無邪気に語る現状が恐ろしくて仕方がないのだろう。
 アオリは己の身に危機が迫っていると知って恐怖に震えたあと、ダリウスに視線を移動させて絶叫した。

「裏切ったのね……!」

 赤紫色の瞳には、皇帝に対する憎悪がありありと見て取れる。
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