追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「アオリ……。痛いのは、一瞬だけです。すぐに、苦しみから解放して差し上げます……!」
「いや……っ。いやぁああ!」

 闇のオーラを満足に扱えない偽聖女と、大好きな人と想いを通じ合わせたおかげで聖なる力を増幅させた本物の聖女では、前者に勝算などない。
 妹は抵抗虚しく、断末魔を上げてその場に崩れ落ちた。

 ――その姿はまるで、糸の切れた人形のようだ。

(よかった……。もう、闇の気配は感じられないわ……)

 背筋が凍るような闇のオーラは、聖なる力によって無事に浄化できたらしい。
 ラシリネはほっとした様子で手にしていたネックレスのモチーフを投げ捨てると、履いていた靴の細長いヒール部分を使って勢いよく踏みつけた。

「えいっ」

 かわいらしく声を上げて容赦なく何度も叩きつけることで、ようやく魔具が粉々に砕け散る。

(こうして破壊しておけば、もう二度と悪知恵を働かせようと目論む人は現れなくて済むはずよね……?)

 ラシリネはしばらく割れたガラス片をじっと見つめていたが、前方からボソボソと聞き取りづらい女性の声を耳にして、そっとそちらの様子を窺った。
< 197 / 254 >

この作品をシェア

pagetop