追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(私はこの国で、必要とされていないのね……)

 その事実に気づいてしまったら、駄目だった。
 自らの人生を捧げ、民の安寧を本気で祈ろうと言う気にはなれなかった。
 攻撃をすべて退けたところで、彼らがこちらを褒めたたえてくることがないのは明らかだったからだ。

(陛下は私を、自分が賞賛されるための道具としか思っていない……)

 なぜ自分が女性としての幸せを手放してまで、こんな傲慢な王の治める国を守らなければならないのだろう? 

『よくやったな』

 たった一言でいい。

『君は素晴らしい聖女だ』

 あの人のように、己に優しく寄り添ってくれる人がいたのなら――。
 きっと、この国でハズレ聖女なんて汚名を轟かせる状態になんてならなかったはずだ。

「私がこの国を去ったあと、誰が聖女になるのですか」
「このあたしに、決まってるじゃない!」

 ラシリネが聖女としての才を見出された時、その場には自分と同じ血を引く妹の姿があった。
 障壁を展開できたのが自分だけだったため、聖女としての役目を担うことになった経緯がある。

(陛下はきっと、ずっと疑っていたのね……)

 10年前に才能を見出された聖女ラシリネは、中途半端にしか国を守れないまがい物。
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