追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
 ならば、選ばれなかったもう1人のほう――妹のアオリこそが本物だと考えたのだろう。
 そうして自身はアデラプス王国の聖女としての座を引きずり降ろされ――空いた席には、アオリが座る。

「この世界始まって以来のハズレ聖女って呼ばれるようになってから、我がラオイドル公爵家の評判も下がる一方よ。これからはこのあたしが、真の聖女として名を轟かせてあげる!」

 胸を張って自信満々に声を発する妹の姿を目にして、ラシリネはほっとした。
 聖女がいなくなれば、この国に張り巡らされた障壁が解除される。
 自国に侵入してきた獣を討伐するのにも満身創痍な武力では、聖なる加護を失えばあっという間に国が滅びてしまうと危惧していたからだ。

(これで心置きなく、聖女の座を退けるわ……)

 己を追放するという覚悟を決めた陛下に抗ってまで、この国で聖女と呼ばれ続けたくはない。
 ラシリネは抵抗を止め、追放を受け入れた。

「アオリ……。この国を、お願いね……」
「ふんっ。ハズレ聖女になんか、お願いされたくないわ!」
「連れて行け!」
「はっ!」

 ――王立騎士団に連行されたラシリネは、人気のない国境堺で置き去りにされた。
< 3 / 40 >

この作品をシェア

pagetop