追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(このままだんまりを決め込んでいたら、陛下が悪者にされてしまうわ……!)

 前皇帝夫妻による疑いを晴らすため、ラシリネは慌てて声を張り上げた。

「ち、違います! 陛下は、何も悪くありません!」
「でも……。ラシリネちゃんは、ダリウスを拒んだわよね……?」
「そ、それは……」

 こちらが気まずそうに言い淀めば、皇太后の表情がさらに曇る。
 それが自分を心配しているせいだとよくわかっているため、余計に心苦しくて堪らない。

「女の子同士で、お話をしましょうか?」
「母上」
「い、いえ……っ。だ、大丈夫です! 今すぐにここで、証明します……!」

 前皇帝夫妻は、不思議そうに顔を見合わせる。
 どうやって白黒はっきりとつけるのかと、不思議で仕方がないのだろう。

(大丈夫……。陛下は、私の唯一信頼のおける殿方ですもの……)

 どれほど想いを募らせたとしても、結ばれることはない。
 それに気づいて、強いショックを受けてしまった。
 だが、聖女の掟を忠実に守り続けるのであれば、どちらにせよ陛下の妻になることは叶わない。
 ならば、今まで通り昔馴染みとして接するのが一番だ。
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