追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(陛下が私以外の淑女と結ばれたとしても、泣かない。きちんと、祝福しよう……)

 最愛の人が喜ぶ姿を見るだけで、自分もきっと幸せな気持ちでいっぱいに包まれるはずだから……。

「も、もう一度……! 私に、触れてください!」
「いいのか……?」
「もちろんです!」

 ダリウスは一度失敗した手前、もう一度拒絶されたらどうしようと怯えているのかもしれない。
 恐る恐る、こちらにゆっくりと手を差し伸べてくる。

(先程とは、真逆みたいね……)

 ラシリネは緊張の色を隠せぬ想い人の姿がおかしくて堪らず、くすくすと声を上げて笑う。
 その後、自ら彼と指先を触れ合わせた。

「ラシリネ……!」

 陛下は慌てて握りしめられた手を離そうとしたが、少し触れ合った程度では検証結果がうまく伝わらない。
 指先を絡めて離れないように恋人繋ぎをしてから、歌うように言葉を紡ぐ。

「そんなに怯えなくても、大丈夫でしたよね?」

 ラシリネは口元を綻ばせたあと、心の中でまだ見ぬ陛下の想い人へ謝罪する。
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