追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(陛下の想い人様。申し訳ありません……。ダリウス様とあなたが結ばれた暁には、自らの意思で触れ合わないと誓いますから……。どうか、今だけは……)

 神に背き、己の欲望だけに忠実となったことを許してほしい。
 そんな懺悔にも似た想いを抱きながら、彼と繋いだ指先から伝わる熱を堪能した。

「わたくし達の、勘違いだったみたいだわ……」
「うむ。聖なる力の、暴走やもしれん……」

 前皇帝夫妻は何か言いたげに顔を見合わせながらも、どうにか納得してくれたようだ。
 ラシリネはほっと胸を撫で下ろし、浮かない顔の皇帝を覗き込んだ。

「嫌われていたら、どうしようかと思った……」
「ご心配には、及びません。陛下は私にとって、命の恩人ですよ? 生涯、お慕いし続けます!」
「く……っ!」

 屈託のない笑みを浮かべて元気よく声を発すれば、なぜか彼は左手で口を覆って、プルプルと小刻みに震えてしまった。

(なんだか、耳が赤いような……? 喉に何か、詰まらせてしまったのかしら……?)

 ラシリネは見当違いな心配をしたあと、「陛下の体調が早くよくなりますように」と願う。
 その後、ダリウスの背中を開いている手で優しく擦ったのだった。
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