追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(もう二度と、魔具に頼らざる終えない状況に、ラシリネが巻き込まれることがなければいいのだが……)

 ダリウスはいつか訪れるかもしれない危機を思い浮かべながら、その場を足早に立ち去った。

 ――アデラプス王国の面々と縁を切ってから、数カ月の時が経つ。

 領地を拡大したエヴァイシュ帝国は、いつの間にか民達の間で大帝国と呼ばれるようになっていた。

『我が大帝国を統べる、強固なる防御壁を生み出した聖女様だ!』
『彼女のおかげで、我々は魔獣に怯える必要はなくなった!』
『まさしく、大帝国の聖女と呼ぶに相応しい!』

 かくして彼女の2つ名はダリウスが扇動するまでもなく仰々しい名前へと変化し、民達からの信頼を勝ち取った。

『なんだか、恥ずかしいですね。私は、ハズレなのに……』

 ラシリネは人々から賞賛を受けるのを、あまりよしとしていないようだ。
 彼らに褒められるたび、どこか申し訳なさそうに金色の瞳を細める。
 自己肯定感の低さは、アデラプス王国で受けた扱いが尾を引いているせいだろう。
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