追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
 過去を精算してから、ラシリネは今まで以上によく笑い、喜怒哀楽を表へ出すようになった。
 ダリウスはそんな聖女が、可愛くて仕方がない。

 彼女の腰まで長い白髪と、花壇に咲き乱れる色とりどりのシラネアオイが、風に揺れる。

(俺もあの花や彼女のように穢れを知らず、綺麗なままでいられたら……。どんなによかったことか……)

 彼女は感極まった様子で、己の胸に飛び込んでくる。
 しっかりと抱き留めたダリウスは、罪悪感で押し潰されそうになった。

(俺は彼女のために、大罪を犯した。そんな自分が、彼女に触れる権利はあるのだろうか……)

 己が犯した罪の意識に、苛まれるからだ。
 何度自問自答を繰り返しても、答えは出ない。

(こんな状態で式を挙げて、本当にいいのか? ラシリネに嫌われるのを承知の上で、すべてを打ち明けなければ、一生彼女へ嘘をつき続ける羽目になる……)

 ダリウスは生涯口を閉ざし、何事もなかったかのように「清廉潔白な皇帝」を演じ続ける。
 それが、己の罰だ。
 楽になりたいなどと、願えるような立場ではなかった。
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