追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「お熱いわねぇ~」
「うむ。実に初々しい」

 前皇帝夫妻はそんな2人の姿を目にして、微笑ましい気持ちでいっぱいのようだ。

(いけない……! 前皇帝の前で、こんなこと……! はしたないと思われてしまうわ……!)

 彼らに茶化されたことで気恥ずかしさをいだき、自らの意思で繋いだ指先を離す。
 その様子を目にした陛下がすぐさま口元を塞いでいた左手を外し、残念そうにしているのが印象深かった。

「聖女の任を解かれたラシリネが、いまだに聖なる力を使える件については疑問が残る」
「あら? ラシリネちゃんは、隣国から追放されてしまっただけでしょう?」
「うむ。聖なる力は、生まれ持った異能だ。自国の聖女を辞め、失われるものではない」
「いや。遥か昔に、前例がある。神の意思に背いて聖女を解任した場合、天罰としてただの小娘になると」

 エヴァイシュ王家の面々は、再び聖女を蚊帳の外に置いて話を始めてしまった。
 その話題の雲行きは、どうにも芳しくない。

「まぁ……」
「隣国との契約は、まだ有効なのかもしれんな」
「ああ。調べてみるべきだ」

 横で彼らの話を黙って聞いていた自分は、慌てて挙手をする。
 このタイミングで意思表示をしなければ、いつまで経っても話題に入れないのではないかと危惧した結果だ。
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