追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(それだけ、私には伝えづらいことなんでしょうけれど……)

 こちらに隠し事を打ち明ける勇気が出るまで、陛下がプロポーズをしてくるわけがないと思っていたからこそ、彼の決断には驚きを隠せない。

(ダリウス様はきっと、決心したのよね。今まで通り秘密を抱え、この先も歩んで行くと……)

 ラシリネはプロポーズを素直に喜べず、内心落胆していた。

(私はそんなに、頼りないのかしら……?)

 秘密を打ち明けられるほど、信頼していないと言われているようにしか思えなかったのだ。
 先程「準備ができたらでいい」と言ってしまった手前、「夫婦になるのを了承する代わりに隠していることを話してほしい」と交換条件を持ちかけるのすら叶わない。

(こんな状況で、なんでも話し合える夫婦になんてなれるのかしら……?)

 ラシリネはここで「嫌です」と断りたい気持ちをどうにかぐっと堪え、考え直す。

(プロポーズを断ったら、信頼関係が損なわれてしまうわ。最悪の場合、二度と話しかけてもらえない……)

 2人の関係が悪化すれば、恋人ではなくなる。
 再び聖女と皇帝に戻ったら、きっとこうして触れ合う権利すらも奪われ、言葉を交わす機会も得られない。
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