追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「ラシリネちゃん……! とっても、素敵よ!」
ウエディングドレスに身を包んだラシリネの姿を目にした元皇后は、赤紫色の瞳に涙を滲ませた。
彼女にとって息子とその恋人の結婚式は、夢にまで見た光景であったからだろう。
感動はひとしおだ。
もしかすると、本人以上に喜んでいるかもしれない。
「これはしっかり、絵描きに頼んで永久保存しておかなくちゃ! 大帝国の守護聖女として、永遠に語り継いでもらいましょう!」
義母はまるでラシリネが自分の娘にでもなったかのような反応を見せると、鼻息荒くああでもないこうでもないと、画家に指示を送っている。
(お義母様は、嬉しくて仕方がないのね……)
そんな彼女のテンションを急降下させるのだけは避けたいが、ラシリネにはある悩みがあった。
(ダリウス様と合流するまでには、時間があるわ……)
自分が腹を割って悩みを相談できる同性は、義母しかいない。
画家との話を中断させるのは気が引けたが、ラシリネは男性がキャンバスに向かったタイミングを見計らって彼女に話しかける。