追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「普段の冷静沈着な姿も、とても素敵ですが……。かわいいところが見られるのは私だけだと思ったら、なんだかとっても誇らしい気持ちでいっぱいです!」

 もっと彼の狼狽える姿が見てみたいと言わんばかりに明るい声を発すれば、自身を抱きしめる腕の力が強まった。
 それに驚いている間に、感情を押し殺した言葉が囁かれる。

「このまま君を攫って、俺しか触れ合えない場所に閉じ込めてしまいたい……」
「そんなことをしなくたって、私はどこにも逃げませんよ?」
「ラシリネ……」
「ずっと、そばにいます。私はダリウス様が、大好きですから!」

 ――外側から、扉を叩くノックの音が聞こえる。
 そろそろ、結婚式が始まる時間のようだ。
 ラシリネは最愛の皇帝と指先を絡め合い、席を立つ。

「参りましょう!」
「ああ……」

 2人は手を繋いで、控室を出た。
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