追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「止める時も、健やかなる時も。妻を愛すると誓いますか?」
「誓う」
「新婦……」
「誓います!」
「では、神の前で口づけを」
「わふん!」

 神父に促されたスノーエルは、「私が見てるからな!」と言わんばかりの堂々とした鳴き声をあげる。

(緊張するわ……)

 そんなこちらの反応を目にした彼は、身を屈めて唇を触れ合わせる。

(大好きな人と、こんなふうに口づけを交わし合えるなんて……。私は、幸せ者ね……)

 ラシリネが「いつまでもこのままでいられたらいいのに」と願いたくなるのは、無理もなかった。
 抱き合うことはするが、彼はあまり身体的な接触を好まないからだ。

(ダリウス様はいつだって、私を乱暴扱ったら壊れてしまう陶器だと思っているもの……)

 自分はそんなに、軟なつもりなどなかった。
 風が吹いても飛ばされたり、雨が降ろうがボロボロになどならない。
 彼はあまりにも、過保護すぎる。

(愛されているからこそ、そうした態度を取るのでしょうけれど……)

 ラシリネは、それが物足りなくて仕方がない。
 ダリウスと恋人になってから、随分と欲張りになってしまったようだ。
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