追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「君まで一緒に、頭を下げなくてもよかったんだぞ」
「そ、そうなんですか……? でも……」
「女性達に向かって笑顔で手を振っていれば、それで構わない」
「な、なるほど……!」

 老若男女問わずに笑顔を振り撒けと指示しないあたりが、彼らしい。
 皇帝と同時に頭を上げたあと、ラシリネはさっそく行動に移す。

(本当に、男性を除いていいのかしら……?)

 ダリウスの言う通りに1人ずつ目を合わせて手を振っていたが、やはり女性ばかりというのはあまり気分がいいものではないだろう。

(やっぱり、よくないわよね……)

 聖女様は男性を異様に嫌っているようだ、なんて噂が経っては困る。
 ラシリネは独断で、会えて小さな子どもや年老いた夫婦にも手を振った。

「ラシリネ」

 しかし、それは数十秒にも満たない短い時間だけだ。
 こちらの立ち振舞いを目敏く確認した彼は、「これ以上民衆の前に立たせるのは危険だ」と判断したらしい。
 ラシリネと再び腕を絡めて室内へ戻ってしまった。
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