追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「ダリウス様? まだ、5分も外にいませんよ。もっと……」
「1人でも多くの民と目を合わせたい。その気持ちはわからないでもないが、異性には止めてくれといったはずだ」
「ですが……。後々のことを考えたら、そういうのはよくないかと思いまして……」

 最低でもあと半分は民の前にいるべきだと主張する自分に対し、ダリウスは苛立たしげにも呆れたようにも聞こえる口調でこちらに諭す。

(黙って、頷けばいいのに……。反論するから、よくないのよね……)

 こういう時は妻として夫を立てるのが正解だとわかっているからこそ、どんどんと声が小さくなる。
 自信なさげなこちらの反応を目にした彼は、「用は済んだ」とばかりに式典会場をあとにしながら、己に諭す。

「この間追い払った騎士団員のように、しつこく君に言い寄って来たらどうする」
「あ、あれは……。私と陛下の関係をご存知なかったから、起きたことです。これからはきっと、ありえません!」
「ラシリネはもっと、他者を疑うべきだな」
「自分では、疑り深く生活しているつもりなのですが……」
「俺からしてみれば、君の他者に対する警戒心は、2割程度しか機能していないように見える」
「そ、そんなに少ないですか……?」

 夫から指摘を受け、ラシリネはショックを受けた様子で絶句する。
< 239 / 254 >

この作品をシェア

pagetop