追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(結婚初日に離婚の危機にならなくて、本当によかったわ……)

 ラシリネはほっとした様子で、ウエディングドレスを脱ぐために彼と別れ、控室へ戻ろうとする。
 だが、どれほど絡めた腕を離そうとしても、ダリウスはなぜか強い力で前に進み続ける。

(これは一体、どういう事かしら……?)

 こちらが困惑している間にすっかり自分の部屋と化した休憩室へ到着した彼は、寝台の前でようやく腕を離した。

「陛下……?」
「綺麗だ……」

 彼は感極まった様子でそう呟いたっきり、黙り込んでしまった。
 大好きな人に褒められて、悪い気はしない。
 ラシリネはどこか恥ずかしそうにはにかみ、何気なくお礼を告げる。

「ありがとう、ございます! ダリウス様も……」

 陛下の正装姿も素敵だと褒めるべく発した声は、すべて言葉にならなかった。
 彼がラシリネを抱きしめて来たからだ。

「きゃ……っ」

 ラシリネはその勢いを殺しきれず、背中を寝台に打ちつける。
 ふとダリウスのほうを見上げれば、紫色の瞳に己に対する執着心を滲ませている姿が目に入った。
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