追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
『結婚すれば、大帝国の守護聖女様のお姿が映し出された絵画を御本人から頂ける!』

 その話はいつの間にか聖女達の間で騒ぎとなり、結婚適齢期の女性達はこぞって想い人と気持ちを通じ合わせるべく試行錯誤を繰り返し始めたという。

「なんだか、不思議な気持ちです」
「こうなることを、望んでいたのではないのか?」
「そうですけど……。思っていた以上に、話が大きくなってしまったといいますか……」

 ラシリネは己の行動を、後悔していない。
 むしろ、誇らしいとさえ思う。
 しかし、他国の聖女からも大帝国の守護聖女として崇め奉られるなど、考えもしなかったのだ。

(私よりも、尊敬されるべき聖女様がいるはずなのに……)

 どうして自分だけが賞賛を受けるのか。
 それが不思議で堪らず、どうにも納得できない。
 暗い顔で俯く妻の姿を目にした夫は、こちらを安心させるように寄り添った。

「諦めなければ、夢は叶う。君の願いが届かない状況よりは、ずっといい」
「はい……。これもきっと、ないものねだりの一種ですね」

 ラシリネは人々から誉れ高い称号で呼ばれるような、価値のある聖女ではなかった。
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