追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(私がまだ、アデラプス王国の聖女なら……。どうして、防御壁の外に出られたのかしら……?)

 本来聖女は、一度守護すると決めた国からは出られない決まりだ。
 あまりにもわからないことが多すぎて困惑している間に、嫌な沈黙が室内に充満していくのを感じる。

(気まずい雰囲気にさせてしまったのは、私のせいだわ……)

 ラシリネはこの状況をどうにかするべく、再び挙手をして己の意思をはっきりと伝えた。

「私、解任式をやりたいです」
「ラシリネちゃん?」
「国王から直々に追放を言い渡された身ですから……。直談判をすれば、神様もわかってくださるような気がします」

 陛下は無言で首を振り、前皇帝は難しい表情で黙り込む。
 赤紫色の瞳にさまざまな感情を浮かべていた皇太后だけが、ぱっと花が綻ぶかのような表情で両手を叩いた。

「そう、ね。あちらも妹さんを新たな聖女にすると決めた以上、就任式は盛大に執り行うでしょう。それまでにラシリネちゃんがあの国と縁を切っておけば、とばっちりを受けることはなくなるはずだわ!」
「うむ。そうと決まれば、さっそく行動に移すとしよう」

 前皇帝夫妻は息をぴったりと合わせてこちらの提案に同意すると、壁際に控えていた使用人達へ指示を出す。
 どうやら儀式を執り行うに当たって、神官の手配や場所の確保などを調整しているらしい。
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