追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
 前皇帝の協力を得て、解任式の準備は急ピッチで進められた。
 ラシリネが隣国にやってきた翌日には儀式を執り行えるようになっていたのだから、最優先で対応に当たったのは明らかだ。

(私のせいで、たくさんの人に迷惑をかけてしまったわ……)

 その光景を見ていることしかできない自分が、歯痒くて仕方がない。

(落ち込んでいる場合では、ないわよね……)

 ラシリネはすぐさま頭を振って、嫌な感情をかき消す。
 自分のために尽力してくれた人達にできる恩返しは、無事に儀式を成功させることくらいしかないとよく理解していたからだ。

(頑張りましょう)

 聖女は心の中で気合を入れると、陛下のエスコートを受けて解任式の会場となる神殿にやってきた。

「ラシリネ」

 己の名を呼んだダリウスは、どこか不安げだ。
 神々が自国と縁を切りたいと願った自分に激怒すれば、危機が迫る可能性が高い。
 もしかすると、心配で仕方がないのかもしれない。

(陛下は本当に、お優しい方ね……)

 想い人がいるにもかかわらず、昔馴染みというだけでこちらにも心を砕いてくれた。
< 40 / 168 >

この作品をシェア

pagetop