追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(神様……。どうか、私の祈りを聞き届けください……)

 ラシリネはひたすら、その時が来るまで祈りを捧げた。

『誰かと思えば、ラシリネじゃねぇか!』

 聞き覚えのある軽快な声とともに1匹の神獣が姿を見せたのは、それからすぐのことだった。

「なんと……!」
「聖女様が、神の使いを呼び出した!」
「儀式が、成功したぞ!」
「では、やはり彼女はまだ……っ」

 己がまだ自国の聖女だという事実は、帝国にとっては自国を弱体化させるまたとない機会だった。
 防壁を生み出す存在は、敵国を攻め落とすのに邪魔でしかないからだ。

 彼らはすぐさまラシリネの命を奪うべく、行動に移そうと暗躍する。
 しかし、それを一喝して止めるものが現れた。

「静まれ」

 成り行きを静かに見守っていたはずの陛下が、敵国の聖女を庇うような素振りを見せたのだ。
 帝国民達は困惑の色を隠せぬ様子で、戸惑う。
 だが、彼はけして意見を変えるつもりはないようだ。

「ラシリネに手を出すな」
「し、しかし……!」
「貴様らが彼女の命を奪わずとも、この儀式を通じて彼の国は弱体化する」

 ダリウスが恐れ慄く人々を黙らせる姿を横目したラシリネは、ほっと胸を撫で下ろす。
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