追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(一時期は、どうなることかと思ったけれど……)

 この様子なら、己の身に危機が訪れる様子はなさそうだ。
 聖女は安心した様子で、目の前に出現した獣へ視線を戻した。

「ご無沙汰しております」
『任命式では、私と同じくらいのサイズだったのになぁ。何年経ったんだっけか?』
「10年になります」
『それって、人間でいうとすげー長いんだろ? ご苦労なこって』

 妙にフレンドリーな口調で話す神は、まるで雪のように白く神々しい毛並みを持つ大型犬の姿を借り、念話で意思疎通を測っていた。
 聖なる力を持たぬ人間は、ただ動物が鳴いているようにしか聞こえないはずだ。

『そいで? 今日は、どうして私を呼んだんだい?』
「国王の命により、聖女の任を解かれました」
『なんだって?』

 天上に住まう我らが神々は超常なる者達だが、人間達の生活をつねに監視しているわけではない。
 そのため、ラシリネが経験したことは寝耳に水だったのだろう。
 慌てた様子でこれまでの経緯を悟った神は、自身が呼び出された理由を知って明るい声を上げた。
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