追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
『あんたの置かれている状況は、よくわかった。これからは、エヴァイシュ帝国の聖女になるってことだな!』
「いいえ。今のところ、その予定はございません」
『なんだって!?』

 神はラシリネの置かれている現状を憂い、自国の聖女を辞める件に関する異論はないようだ。
 しかし、このままどこの国も守護せずに普通の女の子に戻るのだけは、許せないらしい。

『この帝国は、ちょうど聖女不在だ。何度も呼び出されたくねぇし、このまま就任式を執り行わねぇか?』

 ラシリネは左右に首を振り、「それはできない」と意思表示する。
 その姿を目にした神はこちらに向かって甘い言葉を囁き、どうにか思い通りにできないだろうかと行動をし始めた。

『なぁ~。頼むよ~! 女性の幸せは子どもを産むことなんて理念が流行っているせいで、聖女になりたがる人がいねぇんだよ!』
「私は聖女ではなくなりますが、自国の後任は妹になるようです。あなた様が引き続き、あの子を担当されればいいだけでは……?」
『あいつは駄目だ! 私は、君がいい!』
「私の一存で、決められることではありませんし……」

 ラシリネはちらりと、後方で腕組をして成り行きを見守るダリウスに視線を移した。
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