追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「他人の顔色を窺う癖が、抜けないのです」
「長年、神に祈りを捧げて来たからか」
「そうかも、しれません。最優先するべきは、国民の命。私は、たとえ手足がもがれようとも、結界を持続するために尽力するべきでした。なのに……」

 自分は己の身ばかりを案じ、民を守る役目を放棄し続けた。
 そのせいで人々は傷つき、信仰心を失った。
 ハズレ聖女と呼ばれるのは、必然だったのだ。

(私は悲劇のヒロインなんかではない。加害者なんだ……)

 ラシリネは、ずっと心の内に秘めていた最低で最悪としか言いようのない醜き感情を吐露し始めた。

「私が努力を怠ったせいで、たくさんの人々を傷つけてしまいました……!」
「それは違う」
「もう二度と、あのような過ちは犯したくないのです。あなたにだけは、嫌われたくありません……!」

 金色の瞳には、涙が滲む。
 ここで泣いて同情を引くなんて、あまりにも卑怯だ。
 ラシリネは唇を噛み締めてぐっと堪える。
 しかし、どんなに自分では努力をしているつもりでも、憂鬱な気持ちはすぐに晴れてはくれなかった。
< 53 / 254 >

この作品をシェア

pagetop