追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「ありがとう。あなたが会いに来てくれたおかげよ」
「こ、こちらこそ……! 解任式を執り行う際に、たくさんご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした……!」
「気にするな。私は、当然のことをしたまでだ」
「立ち話は、身体に障る。移動しよう」

 陛下の提案を受け、4人はガゼボへ移動した。
 そこは日傘を刺さずとも日差しを避けられるように丸いドーム状の屋根で覆われており、テーブルを囲むように4脚の椅子が用意されている。
 時計回りの順番で前皇帝夫妻、ラシリネ、ダリウスの順番に腰を下ろせば、タイミングよく使用人達がなんの指示も出さずともテーブルの上にお茶菓子を並べ始めた。

(よく訓練された、侍女達ね……)

 聖女は感心した様子で、彼らの仕事っぷりに目を奪われる。
 そんな姿を見ていた皇太后が、こちらに向かって何気なく疑問を口にした。

「アデラプス王国では、侍女の姿はなかったの?」
「は、はい……。不躾な視線を向けてしまい、申し訳ございません……!」
「いいのよ。気にしないで。観察していれば、すぐにわかるもの。ラシリネちゃんが、何を考えているか。ねぇ?」
「ああ」
「そ、そんなにわかりやすいですか……!?」
「とっても、かわいらしいわ」

 彼女はごきげんな様子で笑みを浮かべたあと、喉を潤すために紅茶を手に取った。
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