追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(さすがは、皇太后様……。仕草も完璧で、とても優雅だわ……)

 それに比べ、自分と来たら。
 誰がどう見ても、ただの村娘としか思えない。

(貴族の作法を、もっとよく教わっておくべきだったのかもしれない……)

 まさか大人になって、こんなところで敗北感を味わうなど思いもしなかった。
 ラシリネは悔しさを滲ませつつも、羨ましそうな視線を彼女に向け続けた。

「毛嫌いされるよりは、ずっとよいぞ。なぁ?」
「そうね。ラシリネちゃんがとってもいい子で、本当によかったわ! わたくしの娘になる日が、待ち遠しいわぁ」
「母上……」
「ダリウスったら。まだ、想いを伝えていないの? 早く言わなきゃ、手遅れになってしまうわよ?」

 くすくすと笑い声を上げて、息子を茶化す彼女の話はさっぱり理解できなかった。
 だが、皇太后が楽しそうにしているだけで、ラシリネは充分だった。
 心が暖かな気持ちに包まれていくのを感じ、自然と口元が綻んだ。
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