追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「懐かしいわ……」

 ラシリネが心ここにあらずな様子で、昔を懐かしむ皇太后の話に耳を傾けた直後、視界の端である異変が起こる。
 神獣がシラネアオイの匂いを嗅ぎ、安全を確認してからパクンと口にしたのだ。

(食べても、大丈夫なのかしら……?)

 ――ラシリネの不安は、思ったよりも早くに的中した。

「きゃう!?」

 獣は悲鳴を上げた直後、こてんと美しく咲き誇る花弁を下敷きにして倒れ伏し、喉元を抑えて苦しみ出したのだ。

「スノーエル!?」

 ラシリネは慌てて椅子から立ち上がり、神獣の元へ駆け出した。

(この子は、神聖なる器ですもの……! 何かあれば、きっと神様はお怒りになるわ……!)

 しかし、か弱き自分が苦痛に喘ぐ動物にできることなどほとんどない。
 誤って摂取した花弁を吐き出すように促すべく、背中を叩くか――祈ることくらいだろうか。

(神様……! どうか、スノーエルをお助けください……!)

 聖女がすぐさま両胸の前で両手を組み、心の底から神獣を助けたいと強く願う。
 すると、眩い光がスノーエルを包み込む。
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