追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「みなさん……?」
「心配いらないわ。ラシリネちゃんは、ダリウスがきちんと守るから」
「任せてくれ」

 彼女に諭された彼は、自信満々に頷いた。

(陛下の想い人に、申し訳ないわ……)

 ラシリネはまだ見ぬダリウスの想い人の姿を想像しながら、悲しそうに目を伏せる。

「わふ……」

 そんな自分の姿を見たスノーエルは、「私がいるぞ」と慰めるように胸元へ身を寄せてくれた。

(暖かいわね……)

 もふもふとした毛並みを抱きしめていると、心地いい気持ちでいっぱいになる。

(このまま座り込んでいたら、眠ってしまいそうだわ……)

 ラシリネは眠気覚ましも兼ねて、勢いよく立ち上がる。

「ラシリネ。戻ろうか」

 皇帝の言葉に従った少女は、彼らと別れてその場をあとにしたのだった。
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