追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(お願い……っ! 陛下を、恐ろしい魔物の脅威から守って……!)

 聖女は身に纏うドレスが汚れるのも厭わずにその場で膝をつき、胸元で両手を組む。
 その後、祈りを捧げた。

「わふーん!」

 ラシリネの祈りを「聞き届けた」とばかりにスノーエルが雄叫びを上げた直後、危機に陥っていた陛下の周りにキラキラと光り輝く障壁が展開される。

「ギャウ!?」

 ダリウスに襲いかかろうとしていた魔獣は眩い光を放つ壁に阻まれ、勢いよく後方へ吹っ飛んだ。

「ふん……っ!」

 陛下はしっかりと大地を踏みしめ、これ幸いとばかりに空中でバランスを崩した獣に向かって剣を振りかぶった。

「ギャワウゥ!」

 魔獣は障壁に阻まれたのがよほど堪えたのか、皇帝の一閃を真正面から受けてしまう。
 勢いよく吹き飛ばされていく獣から黒いオーラが薄れ、鍛錬場へ向かって落ちていく。
 その姿を目にした彼は剣を鞘に収めると、血相を変えながらこちらへやってきた。

「ラシリネ! 怪我は!?」

 聖女はすぐに胸元で指先を重ね合わせるのを止め、優しく口元を綻ばせて告げる。
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