追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(ダリウス様には、想い人がいるもの……。ここまま彼の手を取ったところで、陛下と結ばれる可能性は低い……)

 彼と夫婦になれないのであれば、皇帝が治めるこの帝国を守るために、聖女としてすべてを捧げるほうが、よほどダリウスに喜んでもらえるだろう。

「私は母国でハズレ聖女と呼ばれる程に、障壁をうまく張り巡らせられませんでした」
「駄目だ」
「そんな自分が、どこまで陛下のためにお力になれるかはわかりませんが……」
「やめてくれ」
「1度目の失敗を活かし、今度こそ立派な聖女になってみせます!」
「ラシリネ……!」

 だからどうか、今にも泣き出しそうに紫色の瞳を潤ませないでほしい。
 そんな思いを込めて優しく微笑んだのだが、今の彼にはまったく意味をなさなかったようだ。
 陛下は魔具を握りしめ、どうにか考え直してもらえないかと言葉を尽くす。
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