追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
 そんな思いをいだいていると、歯切れの悪い言葉とともに疑問が投げかけられる。
 ラシリネはどう答えるのが正解なのかわからぬまま、言い淀んだ。

「さぁ……。はっきりとしたことは、何も。ただ、これだけはわかります。私よりも可憐で素晴らしく、とても素敵な淑女なのだと……」

 頭の中で妹によく似た可憐な女性の姿を思い浮かべる。
 隣に並び立つ姿を何度夢想しても、「お似合い」としか言いようがなかった。

 しかし、皇太后はこちらの返答が納得できないらしい。
 難しい顔で、再び疑問を投げかけた。

「どうして、そう思ったの?」
「私が皆さんと再会した時、奥様は仰っていましたよね。陛下には、想い人がいると。あれは、ダリウス様を好きになってはいけないと言う警告なのだと解釈いたしました」
「ま、まさか……。このすれ違いの原因は、わたくしだったの……?」

 彼に想い人がいると考えた理由を正直に打ち明けたところ、彼女の表情が青ざめた。
 明らかにこれは、由々しき事態だ。

(私のせいで、奥様の体調を崩してしまったわ……!)

 ラシリネがおろおろと狼狽えながら前皇帝を呼ぼうか迷っていると、皇太后の口から申し訳なさそうに言葉が紡がれた。
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