追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「このお話を聞いて、やはり自分はこの帝国を守護する聖女になるべきだと確信いたしました」
「ラシリネちゃん!? どうして……!」
「私は陛下が治めるこの帝国を、守りたいのです。自らの意思を優先し、民を犠牲にするなど……。もう二度と、あのような恐ろしき過ちを繰り返すべきではありません」

 だが、こちらの発言によって、再び彼女の顔色が曇る。
 明らかに「このまま白黒はっきりとつけてきます!」とラシリネが飛び出していくであろう状況だったはずなのに、まさか彼に対する恋心を今まで通りこの身に秘め続けるなど思わなかったのかもしれない。

 皇太后は深い溜息を零したあと、ラシリネへ諭す。

「あなたは、今まで充分にアデラプス王国へ尽くしてきたわ。罪滅ぼしのために我が帝国に献上しようなんて、思わなくていいのよ?」
「私が障壁を張り巡らせることで、陛下の負担が少しでも減るのなら……。きっと、そのほうがいいんです」
「ラシリネちゃん……」

 ここまで言葉を尽くしても頑なに考えを変えない以上、自分では説得できないと考えたのだろう。
 彼女は悲しそうに赤紫色の瞳を伏せたあと、一縷の望みをかけて願望を口にした。
< 88 / 254 >

この作品をシェア

pagetop