追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
5・聖女に抱く屈折愛【ダリウス】
「想い人が私を好きになることは、きっとないので……」

 最愛の聖女からその言葉が紡がれた瞬間、この身は言いようのない怒りと絶望でいっぱいになった。

(ラシリネは俺に好意をいだいていると、信じて疑っていなかった。だが、それはどうやらそれは違うらしい)

 彼女は想いの届かぬ相手に、恋をしているようなのだ。
 ラシリネに幼い頃から言葉では言い表しきれないほどの激重感情をいだいている己にとって、この発言はみっともなく縋りついて罵声を浴びせたいほどに納得できぬものだった。

(彼女が想いを寄せる相手は、どこの誰だ……!)

 紫色の瞳に怒りの感情を宿らせ、思案する。
 彼女は聖女になった瞬間から、生涯神に操を立てることを義務づけられている。
 ラシリネとかかわり合いになれる異性は、神官と国王くらいしかいなかったはずだ。
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