追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(やはり、父上は頼りになるな……)

 見当違いなアドバイスをしてくる母親よりは、ずっと信頼できるはずだったのに――。
 今回ばかりは納得できず、言いようのない思いを滲ませながら吐き捨てた。

「父上は俺に、どうしろと言うんだ……」
「貴様がどうしたいかによっても、大きく変わる」

 父親には、これまで何度も説明している。
 己の願いは、彼女に好意をいだくようになった幼き頃と変わっていなかった。

「俺はラシリネを、妻として娶りたい」

 たとえ相手が神であろうとも、容赦はしない。
 何を犠牲にしてでも、手に入れたい相手。
 それが、自分にとってのラシリネ・ラオイドルという存在だった。

「ようやく彼女が、触れ合える場所に戻ってきたんだ……。なのに、なぜラシリネは聖女になりたいなどと……」
「聖なる力を用いなければ浄化できぬ、魔獣の出現。明らかに、あれのせいであろうな」

 ダリウスは幼い頃から、民達と協力して魔獣の討伐を行っている。
 そのため、獣を前にした際の戦い方は熟知していた。
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