隠していた想いを伝える時
「ほんと、相澤はバカだね」
返ってきた言葉が自分が思っていたものと違ったことに驚いて、恐る恐る顔を上げると、槙田くんは優しく微笑んでいた。
「こんなに可愛くて魅力的な子、他にいないのにね?」
「……っ、」
何も言えない私の顔を見て、さらに笑みを深めた槙田くんに、ふわりと頭を撫でられ、腕の中へと引き込まれた。
槙田くんの腕の中は、本当に温かい。
先ほど言ってくれた言葉が、心まで温かくしてくれた。
「もう乾燥が終わってるはず。みてくるよ」
槙田くんは抱きしめていた腕を離し、ベッドから出ると、自分の着替えを済ませて部屋を出ていった。
急に彼の温もりがなくなってしまったことが少し寂しいと思いつつ、槙田くんのジャージを上から羽織って、一人になった部屋で気持ちの整理をする。
彼氏の智也に振られて、雨に降られて。
濡れていたところを槙田くんに助けてもらって、彼に抱かれて、告白された……。
ゼミが一緒だから槙田くんの人柄は知っている。
そこまで仲が良かったわけではないから、もしかしたら表面上のことしか知れていないかもしれないけど、でも悪い人ではないと思う。
だって、槙田くんはずっと優しかった。
それは、行為の時も……。初めては痛いと聞くけど、痛みは一番最初だけで本当に優しく抱いてくれた。
私はこういう行為が初めてだけど、槙田くんは慣れているのが分かったし、こういう経験が豊富なんじゃないかと思う。
長いこと特定の彼女はいないと噂の槙田くんが、実は経験豊富だなんて、なんだか少し意外に思うけど……。
私が槙田くんに思っているような人間じゃないと告げたように、彼にも私が知らない一面があるのかもしれない。