隠していた想いを伝える時


 それに彼氏と別れたその日に違う人と付き合うなんていいのかな。

「……わかんないよ」

 考えても答えは出なくて、一人静かな部屋の中で小さくそう呟いた。


 それにしても、なかなか槙田くんは戻って来ない。
 
 しばらく布団にくるまって告白の返事を考えていると、部屋の扉が開いて槙田くんが戻ってきた。


「お待たせ。服、乾いてたよ」

「ありがとう」

 槙田くんから乾かしてもらった服を受け取ると、ふわふわで温かかった。

 そのふわふわ加減に、思わず頬が緩む……。


「相田さんって一人暮らしだったよね?」

「うん。そうだよ」

「じゃあもう遅いし、雨も結構激しく降ってるから今夜は泊まっていきなよ」

「え?」


 そういえば、今何時だろう。

 部屋の時計を確認すると、もうすぐ21時をまわるところで、たしかに遅い時間ではあるけど、帰ろうと思えば帰れる時間だった。

 時計から槙田くんに視線を戻すと、彼は照れ臭そうに笑い、持っていた服ごと私のことを抱きしめてきた。


「ごめん。もう遅いから、なんてのはただの口実で、今日は帰したくないんだ」

「でも、迷惑じゃ……」

「迷惑なわけないでしょ。ほら、お風呂入れたから行っておいで」

「……じゃあ、お借りします」

 上手く断ることもできず、とりあえず脱衣室に行ってから考えようと、服を持って立ち上がった。

 部屋を出る時、槙田くんの嬉しそうに笑う顔が見えてしまって、あんな顔をされてしまったら、帰れない……。


< 13 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop