隠していた想いを伝える時


 脱衣室に入ると、バスタオルと新品の歯ブラシを用意してくれてあって、浴室に入ると、ちょうど湯はりが終わったことを知らせる音が鳴った。

 今日はいろんなことがあって疲れたから、温かいお風呂に入れるのは正直とても嬉しくて、槙田くんの厚意に甘えてお風呂に浸かることにした。


 槙田くんは、本当に優しい。

 男の人にこんなに優しくされたのは初めてのことで、槙田くんの優しさが今の弱った心にとても沁みた。


 お風呂から上がると、さっき借りた槙田くんのジャージを再び着て部屋に戻ることにした。

 もう泊まるつもりで槙田くんのジャージを着てしまったけど、本当によかったのかな……。

 どうしても槙田くんの反応が気になってしまって、恐る恐る部屋に入ると、私に気がついた槙田くんは嬉しそうに笑って手招きをした。


「本当に泊まってくれるんだね」

「うん。今夜はお世話になります」

そう告げると、槙田くんは満足そうに笑った。


「俺もお風呂いってくるから、適当に座って休んでて」

 槙田くんはそう言って、私をソファに座らせると、部屋から出ていった。


 部屋の扉が閉まったことを確認すると、ソファの傍に置いていた鞄をあけ、眼鏡ケースを取り出し、コンタクトを外して眼鏡にする。

 抱き抱えるようにして鞄を持っていたから、雨が酷かった割に中身はそんなに濡れていないみたいでよかった……。

 でも、中に入っていたスマホは、水に濡れたことで電源がつかないから、明日は携帯ショップに行かないと。

 そんなことを考えながら、荷物の整理をしていると、槙田くんがお風呂から出たみたいで、部屋に入ってきた。

 お待たせ、と槙田くんが私の隣に座ると、ふわりとお風呂上がりのいい匂いがして、なんだか少し緊張した。




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