隠していた想いを伝える時


「ねえ、相田さん。彼氏と別れて寂しい?」

 すぐ隣にある槙田くんの顔を見ると、すごく真剣な表情で私のことを見つめている。

 そんな槙田くんから、目を逸らすことができないまま、無言で槙田くんの目をみつめていると、彼の手が私の頬に伸びてきて優しく触れた。


「ねえ……寂しい?」

 さっきから少しも逸らされることのない視線と、優しく頬に添えられた温かい手……。

 そんな槙田くんの行動一つ一つに、ドキドキしてしまうけど、そんな気持ちを隠したくて彼から目を逸らした。


「それは、もちろん寂しいよ……」

 寂しいに決まっている。

 だって、彼氏と別れたんだから……。

 寂しい、という気持ちを口に出してしまえば、今まで抑えていた感情が溢れて、目の奥がじわりと熱くなった。


 でも槙田くんの前で泣くなんて、ダメ。

 泣いたら、また困らせてしまう。

 そう思うのに、そう思えば思うほど、涙が溢れてしまいそうになった、その時。

 目の前にいた槙田くんの顔が近付いてきて、彼の唇がゆっくりと私の唇に重なった。


「んっ……!」

 軽く触れる程度かと思ったら、しっかりと唇が重ねられて深いキスへと変わる。

 そのままソファに押し倒され、優しく抱きしめられて、身体も唇も離してもらえない。

 こんな深いキスをするのは初めてで、息が苦しい。

 だけど、槙田くんとのキスはとても気持ちがよくて、頭がふわふわして。ようやく離してくれた時には、槙田くんの息も上がっていた。



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