ふたつの弧が、重なるとき ――元エースピッチャーの彼と、走り高跳びの彼女。熱を持った六年越しの初恋を、不器用に重ね合わせていく。
 ◇

 明日は二人とも朝からバイトのため、夕食をとったあとは早めに祥ちゃんが家まで送ってくれた。
 昨晩から今日にかけて、私たちはこれまでで一番長く一緒にいた。

「……今までで一番幸せな誕生日だった」

 帰り道、繋いだ手に力を込めながら祥ちゃんが言ってくれたとき、私の幸せもまた最高値を更新した。

 マンションに着く。
 いつもならエントランスの前で「バイバイ」なのに、今日は少しだけ違った。

「……部屋まで送っていい?」

「……うん」

 玄関の扉を開けるとすぐ。
 寂しさが込み上げてぎゅっとしがみつくと、彼は大きな両手で私の頬をそっと持ち上げ、大切にキスをしてくれた。

 ゆっくりと唇が離れ、祥ちゃんは私の肩にこつんと頭を乗せて、消え入りそうな声で呟いた。

「……離れたくないな」

 いつもなら私が言う台詞を今夜は彼が口にしたことに、つい舞い上がってしまう。

「じゃあ……本当に離れられなくなる前に、帰るわ」

 自分に言い聞かせるように苦笑いして、「戸締まりしっかりね。おやすみ」と、甘い熱を残して帰っていった。
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