ふたつの弧が、重なるとき ――元エースピッチャーの彼と、走り高跳びの彼女。熱を持った六年越しの初恋を、不器用に重ね合わせていく。
 ◇

 週が明けて、月曜日。

 昨日は朝から夕方までのバイトのあと、家でゆっくり休んだはずなのだけど。
 なんだかまだ夢見心地でぼーっとしてしまい、午前中の授業はあまり集中できなかった。

 いずみとカフェテリアでランチをとっていると。

「んんっ!? ちょっと待って」

 彼女は急に言葉を止めて、世間話をしながらもどこか心ここにあらずの私をじっと凝視した。

「美絵、なんか……ピンク色のオーラが出てない!?」

「えっ!? な、なにそれ……!?」

 意味もなく自分の頭や顔を触って確かめながら、激しく動揺する。
 
(何が出てる!? 私、どんな顔してるの!?)

「ハッ! そういえば週末だったか……! 祥太郎くんの誕生日! ちょっと、何かあったの!? ……もしかして!?」

「…………!!」

 直球すぎる質問に、言葉が詰まる。

 二人きりで過ごした、特別な時間。
 彼の香り。低い声。触れた手のひらや、唇の熱。
 それらが次々と思い浮かび、頬が火照って、視線が泳いでしまう。

 観念して、恥じらいを隠せないまま、こくりと頷いた。

「……!! キャーーッ!!」

 いずみはテーブルの下で足をパタパタパタッと激しく鳴らし、ひとしきり悶絶したあと、私の両手をガシッと掴んだ。


「美絵…………先生!!」


「な、なに……先生って……」

 その瞳は、鋭く、かつ真剣に輝いていた。
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