ふたつの弧が、重なるとき ――元エースピッチャーの彼と、走り高跳びの彼女。熱を持った六年越しの初恋を、不器用に重ね合わせていく。
「終わったよー! まさとんも?」
「おうよー! 二年以降にヘマして単位落としてもいいように、今年多めに取ってたから、マジで疲れたわー!」
ドサッと大きな音を立ててソファに腰掛けながら、「うちの大学、試験日程ほんと長いよなー」とぼやく。
そして、こちらを見てパチリと瞬きをした。
「あれ? ヨッシー、髪切った?」
「うん。さっき切ってきたの」
「おー、似合ってんじゃん!」
そう褒めてくれたあと、「あ。そういや」と、何かを思い出したようにポンと手を打った。
「祥太郎は明後日が最後のテストだってな。俺は取ってない授業のやつだけど。あいつ、テスト終わってもコーチのバイトで忙しいらしいけど……ヨッシーを不満にさせたりしてないかー?」
明るく茶化すような問いかけに、不意を突かれた。
(忙しいことに不安を感じてるわけじゃないんだけどね……)
心の中でそっと呟きながら、「あっ、うん! 大丈夫だよ」と笑顔を作って返した。
けれど、私の表情から何かを感じ取ったらしい。
「んんっ?」と目を細めたかと思うと、数秒間何かを考え込んだあと、勢いよく立ち上がった。
「よし! 二人とも、今日このあと予定あるか?」
いずみが「二人でご飯行こうかって、軽く話してたけど」と答える。
「俺も入れて! 今から三人で飲みに行こうぜ!」
正人くんは親指でクイッと出口のドアを指した。
「えっ、今から!?」
驚いて時計を見ると、まだ夕方の四時台だ。
「五時になれば、駅前のどっかは開いてるっしょ! ほらっ、行くぞー!」
強引なペースに巻き込まれ、私といずみは慌ててお菓子のゴミを片付け、鞄をひっつかんで部室を後にした。