ふたつの弧が、重なるとき ――元エースピッチャーの彼と、走り高跳びの彼女。熱を持った六年越しの初恋を、不器用に重ね合わせていく。

第66話

 ――プルルッ、プルルッ。

 予定のない朝用に、いつもより少し遅い時間にセットしてあるアラームが鳴る。
 二回ほどベル音が響いたところで目を覚まし、慌てて伸ばした手でそれを消した。

 隣にいる美絵は寝息を立てていて、気づいた様子はない。

(まだ起こさないでおこうか)

 そう思い、静かに布団から抜け出そうとすると。
 背中に、ポスッと柔らかい重みがのしかかってきた。

「…………?」

 驚いて振り向くと、美絵が僕の腰にぎゅっと抱きついている。
 目は閉じられたままだ。

「……美絵? 起きてる?」

 小声で尋ねてみると、彼女は寝ぼけながら「行っちゃ、だめー……」と甘える声で呟いた。

(……可愛すぎる)

 身悶える僕は完全に降参して、再び布団の中に潜り込んだ。
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