ふたつの弧が、重なるとき ――元エースピッチャーの彼と、走り高跳びの彼女。熱を持った六年越しの初恋を、不器用に重ね合わせていく。
――ブブッ、ブブッ、……
さっきから、ベッドの端に放り投げたスマホが短く震え続けている。
今夜はサークルの新入生歓迎会があって、そろそろ一次会が始まる時間だ。
きっとグループチャットで、集合場所やお店のやり取りが飛び交っているのだろう。
僕は、歓迎会には行かないことにした。
時間的にはバイトが終わってから向かえば十分間に合ったけれど、サークルの集まりだから、美絵が来るかもしれない。
僕がいたら、きっと気まずい思いをするだろうし……気まずい顔の彼女を見るのも辛い。
最悪の場合、僕のせいで美絵が欠席してしまうかもしれない。
だから、「バイトが入っている」という若干の嘘をついて、不参加にした。
のろのろと身体を反転させ、仰向けになって天井を見上げる。
暗い天井の壁紙をぼんやりと目で追いながら、ふと思った。
(……美絵と再会したあの日から、ちょうど一年が経ったんだな)
一年前に偶然再会したときは、ただの「同郷の同級生」だった。
あれから、お互いの気持ちが重なって、恋人同士になった。
それなのに、皮肉なことに今のほうが、あの頃よりもずっと、ずっと苦しい。
美絵の言う『考えたい』は、いつまで待てばいいのだろうか。
僕から連絡をして、焦らせて、急かすようなことはしたくない。
でも、彼女の中で答えが出たとき……僕たちは一体どうなってしまうのだろう。
真っ暗な部屋で、答えの出ない問いだけが、濁った水のようにぐるぐると回り続けていた。